2014年05月23日

辻克己編著『現代圖案文字大集成』浩文社刊昭和12年7版 売り切れ

お買い上げありがとうございました

先日に引き続き昭和初期に活躍されたグラフィックデザイナー辻克己氏による、今度は図案文字の本です。
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外函つきです。
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昭和9年1月初版の丁度3年後、昭和12年1月に発刊された7版です。
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この本も発売当初からかなりの人気だったものと思われます。

大きさ:本体およそ26強×19.5×3cm(扉+目次+巻頭カラー図版各1ページ 単色刷り本文321ページ+多色刷り章扉7ページ 奥付1ページ) 外函およそ27×20.5×3.5cm
重さ:本体およそ1050g 外函およそ150g
手入れ:外装のみエタノール拭き上げ 本体ノドの一部及び外函角の一部製本用糊にて補修

扉その他に旧蔵者印などは見当たりません。
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この巻頭カラー図版も「色使いのヒントになれば」とのお考えだったのでしょうか。
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目は惹くものの、このまま使える場面はまずなさそうですが…。

その1枚前にある目次でご覧いただけるように、「特殊圖案文字」「いろは圖案文字」「モノグラム・マーク集」「各流書體と活字體」「著名商品文字」「圖案英文文字」「映畫演藝廣告圖案文字」の7章に分けてあります。
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各章の始めに扉として、ノンブルの打たれていないカラーページが副えられています。
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この辺は著者ご本人の作品かしらん、とも思いますが、…
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…こちらは他の印刷物などから持って来たものでしょう。
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次の章では片仮名・平仮名のフォントが大半を占めます。
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なかなか汎用性の高そうな、洗練された書体が幾つも載っています。辻氏ご自身の手になるものでしょうか。
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そのうち48文字一揃いあるのは、片仮名36書体、平仮名23書体に上ります。
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こんな一筆書きや変体仮名も。

モノグラムやマークの類いは、恐らく輸入図案集や広告・製品そのものなどから蒐めたのではないかしらん。
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これは紋帳の引き写しでしょう。
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昭和初期の各市章や東京市35区章などは、こんな本でもないと目にできる機会はあんまりないかも知れませんね。

内外企業の商標や、…
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…中世ヨーロッパのシンボル集などもあって、…
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…眺めているだけでもなかなか愉しいです。

次の章は印刷物から拾われたのであろう各種書体。
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新聞の題字や、…
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…はたまた五体字鑑の引き写し、…
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…活字書体なども。その次には…
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…標題通りの雑誌類題字や商品ロゴなど。柱は「著名商品文字」となっています。
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多分、新聞や雑誌に載っていた広告から採取されたのだろうと思います。

お次はアルファベットの図案文字集。
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「英字」といいつつ、実はドイツ・フランス・イタリア語も載っていたり。柱は「圖案英字集」となっています。
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大文字小文字とも揃っているのが28書体、大文字+数字揃いが5書体など。但し途中からフェイスが変わっていたりするものもあります。さて終いは…
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内外の演劇・映画の題字集。
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ノンブルは320ページまで打たれていて、「終り」のページにはありません。

本文の刷り色は墨→茶→緑→墨→茶と替えられています。
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「緑」といっても千草鼠のような深い色ですので、ぱっと見では墨と見間違えられるかも知れません。

見返しは洒落た縦縞模様です。
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カヴァーが掛けられていたらしく、表紙側は遊び紙よりも焼けていません。

外函の天と背とがかなりひどく焼けていますが、本体の表紙は函+カヴァーのお蔭かまずまずの状態です。
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この本も天が茶色く染め付けられていて、やや光沢があります。
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ヒラは色箔が劣化しているものの、傷みはそれほどでもありません。
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外函に旧蔵者署名があります。

本文は天地小口側が埃焼けしているものの、画材などの汚れもそれほど見られず比較的よい状態です。
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ちょこっと染みがあったりはしますが…。
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ページの破れやノドの緩みも目立ちません。

カラーページの塗工紙の前後ページに焼けが目立ちます。
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1箇所断裁のヘマがあります。
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因みに、植村長三郎著『書誌學辭典』(教育圖書刊昭和17年8月初版)によれば、こういうような冊子モノの小口截断の際にページの紙が折れたまま切ってしまった余分の紙のことを「福紙」「エビス紙」と俗称するそうです。
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またこの裁断ミスのことを「耳折れ」ともいうようですが、これは見出し語にも副えられているように、英語の「Dog's-eared」から来ているのでしょう。確かに洋犬の垂れ耳みたいなカタチですものね。

裏表紙ヒラと小口とそれぞれ1箇所、白い画材らしきものが着いています。
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外函は角を中心にやや傷みが目立ち、天の小口側が一部崩れています。
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函としての強度は充分にあります。

強くぶつけたか何かしたらしく、本体天小口側の角が歪んでいます。
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表表紙に皺が寄っているだけでなく、本文紙も全体の四分の三くらいに縒れが見られます。
posted by 黯ねこ at 21:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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