2012年06月08日

『創作圖案文字大展』 売り切れ

お買い上げありがとうございました

昭和初期に出された高品位な図案文字集です。
12_014_01.jpg
印刷の鮮明さには目を瞠るものがあります。

「商飾文字」「平假名」「片假名」「英字・數字」の4章に分けて纏められています。
12_014_02.jpg

版元の元文社、田中耕三郎氏はご自身でも『繪とカット圖案文字大展』という似通った題名のカット集を昭和11年に出しておられますが、それに先立つ4年前に刊行されたこの本から少なからぬ影響を受けられたのかも知れないなぁ、と考えたりしています。
12_014_03.jpg
著者や巻頭言、奥付の予告等についての考察は、いずれまた「雑記」ブログにて取り上げてみたいと思います。

大きさ:およそ26.5cm弱×19.5cm弱×2cm強 扉+序文+目次+本文99ページ+奥付

重さ:およそ840g

手入れ:外装のみエタノールで軽く拭き上げ

各章扉ページは、本文紙よりもやや薄手の、少し光沢のある紙が使われています。
12_014_04.jpg
だいぶ紙焼けしていて確信が持てませんが、用紙の色もクリームっぽく見えます。

「商飾文字」の章は、漢字を中心とした実例集になっています。
12_014_05.jpg
扉から奥付に至るまで、すべてのページが片面刷りという、なかなか贅沢な本です。
12_014_06.jpg
確かに、各丁裏側には向かい合わせのページからはっきりインク移りしていますので、両面刷りにしていないのは正解ですね。

平仮名は章扉のも含めると21書体収録されています。但し、章の扉のはいろは順で「ら」までの21文字しかありません。
12_014_07.jpg
「ゐ」「ゑ」や、変体仮名の「江」(え)「志」(し)「寿」(す)「子」(ね)などが入っていたりいなかったり、書体によってまちまちです。
12_014_08.jpg

片仮名は章扉の20文字しかないのも含めて20書体収録です。
12_014_09.jpg
そういえば、章題の文字はこれまた別の書体ですねぇ。似た形のものは一揃い載っているのですが…。

英字は大文字16書体、小文字14書体、数字21書体です。
12_014_10.jpg
但し、章扉のものも含め、アルファベットの一部しか載っていないものもあります。また、大文字と小文字とがセットになっている書体はないようです。
12_014_11.jpg
最後の4ページは、数字を除き横文字の実例集になっています。

全体に紙焼けや墨汚れ、褐変した染みなどが見られます。
12_014_13.jpg
但し、文字の形が判らないような汚れはありません。

この品物の最大の欠点は、残念ながら片仮名の章の最後に当たる79ページが鋏で切り取られてしまっているところです。これにより本来本文100ページのところが99ページしかなく、1書体が欠損しています。
12_014_14.jpg
尚、その埋め合わせに足るかどうかは判りませんが、心ばかりのオマケが附きます(内容はお問い合わせください)。

縢り糸が緩んで、綴じが一部バラけかかっています。
12_014_15.jpg
そのため、小口の面はかなりガタガタです。

最後の方の数丁のノド側下端に水濡れの跡があります。
12_014_16.jpg
幸い、紙が波打つ程には濡れなかったようです。

また、これも後ろの方ですが、罫下の角が数丁に亙って折り癖がついています。
12_014_17.jpg

本文紙は小口側が3方とも著しく紙焼けしています。
12_014_18.jpg
また天地の中程に僅かながら白っぽく崩れたような部分が見られますが、これは黴びた痕かも知れません。

表紙はしっかりしていますが、染みや汚れのこびりつき・剥げがあり、クロス装の小口側が一部擦り切れています。
12_014_19.jpg
コーナーは表表紙の罫下側と裏表紙の天側が内側にやや曲っています。また裏表紙上端が1箇所少し凹んでいます。

背は天地ともに端がへたり気味で、綴が緩んでいることもあって全体的に幾分凸凹しています。
12_014_20.jpg

背の題字は何とか読み取れますが、一文字目の「創」はほぼ消えてしまっています。
12_014_21.jpg
表表紙側の空押し題字はかなり綺麗に残っています。

…という具合に、本としての状態はあんまりよろしくないのですが、内容と印刷品質とはかなり良いです。数ある圖案文字集の中でも滅多に出回らない本ですので、昭和初年モダニズム全盛期のグラフィックデザインにご興味がおありの方にはお奨めの一品です。
posted by 黯ねこ at 17:01 | Comment(0) | TrackBack(1) | 書籍雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント(店主承認後に表示されます)
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/274051089
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック

Snapshot -阿佐谷-
Excerpt: 「ねこの隠れ処」という看板が掛かった店の前を通りかかる。中を覗くと何やらゴチャゴチャとならんでいる、というより、大正、昭和の古い時代を漂流してここに流れ着いた…と言った感じ。店主は「千田みすゞ」という..
Weblog: >>>>>> 芭 璃 庵 <<<<<<
Tracked: 2013-03-13 23:38
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。