2012年04月24日

『中學校博物通論教科書』 売り切れ

お買い上げありがとうございました

旧制中学向けに編まれた、大正後期の生物学の教科書です。
12_005_01.jpg
表紙のねずみたちは、本文の遺伝について書かれたところで登場します。

版元の寶文館は『令女界』という若い女性向け雑誌などで知られているところですが、かなり広範囲のジャンルの出版物を手掛けていたようです。
12_005_02.jpg
著者の安東伊三次郎氏は生物や鉱物などの教科書を何冊も書いておられますが、少なくとも大正期には陸軍幼年学校の教官だった人物らしいです。

初版が大正10年でこの本は翌11年の訂正再版ですが、大正16年度(=昭和元年度)の臨時定価が印刷され、更に昭和3年度の臨時定価がゴム印表示されているところを見ると、実際には大正15年に作られて昭和3年に買い求められたものと思われます。
12_005_03.jpg
それにしても11年に26銭だったものが僅か5年ほど後には44銭に…随分急激に値上がりしていますね。やはり関東大震災の影響が大きいのでしょう。

紙質がとても良い所為か、古さの割にはかなり好い状態だと思います。

大きさ:およそ15cm×22cm強×0.5cm弱 扉+目次4ページ+本文66ページ+折り込み図版2枚(うち1枚は図版解説)+奥付

重さ:およそ120g

内容は生物学の総論から進化論、遺伝学、分布、そして人間との関わりなどが述べられています。
12_005_04.jpg
本文の紙の平滑度が高く、印刷も非常に鮮明です。
12_005_06.jpg
全体が黒っぽいこの海底の図なども、細部が潰れておらず、微細な線がちゃんと出ているのが素晴らしいです。
12_005_07.jpg
多色刷りの部分も綺麗に残っています。色ずれも全くありません。
12_005_08.jpg
折り込みの「動物分布略圖」も味わいがあって素敵です。

巻末には「博物学年表」として、年代順に著名な学者の学説や発見を列挙した附録が7ページあります。
12_005_09.jpg
ここには図版はありません。

…という具合にとても綺麗な本ですが、一部に赤鉛筆による書き込みがあります。
12_005_10.jpg
ここが一番激しいです。

こちらはもうちょっとおとなしめ。
12_005_11.jpg
図版に書き込みがあるのはこのページだけです。

鉛筆の書き込みも少々。
12_005_12.jpg
科学者の肖像画もなかなか綺麗です。ダーウィンやメンデルのもありますよ。

奥付の裏側には昭和3年11月の日付のある黒インクの書き込み。「コーバーヂス」とあるのは「クォ・ヴァディス」のことですね。
12_005_13.jpg
綴じ部分の鉄線はだいぶ錆びていますが、今のところばらけそうな感じはしません。

表紙は表側に1箇所墨が着いている他は、折れも少なく綺麗な方です。裏表紙にインクで記名があります。
12_005_14.jpg
背は上下端と真ん中辺りが少し擦れていて、また裏側の鉄線部分が錆びの影響で2箇所孔が開いてしまっていますが、全体としてはまだまだしっかりしています。
posted by 黯ねこ at 18:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント(店主承認後に表示されます)
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。